大学からの要請で何年か教壇に立ったことがある。2年生、3年生が主。教授が学問として教える授業と違い、実社会の人間がこれから先の社会を教えるのだから、学生たちには人気があった。年々希望者が増え、週1回の授業が3回にまで増えた。顔見知りの学生が多くなり、気軽に話しかけられるようになった。授業ではたくさんの質問が出て、私も勉強になった。そんな中で、ある学生が「先生の授業は時間を忘れるくらい面白く、為になるのに、この大学の先生の授業は面白くない。ほとんどの学生は授業中寝ている。」と。私は「大学の先生は教えること、話すことが仕事だから、面白くない先生は仕事として努力不足だろう。そんな先生は学長に直訴して君たちのために辞めてもらった方が良い。」と返した。
先日、新聞に小中学校の不登校の記事が具体的な数字をもとに出ていた。2022年度の公立の小中学校の不登校数は過去最多となっていた。
「なぜ不登校になる子が多くなっているのか。」社会の仕組みが大きく変わって来ていることが、その主な要因であることは理解できる。子どもの環境の個々の細かな事情もあるのもわかっている。社会の変化を不登校対応として変えることや親や家族環境を変えることはなかなかできない。それならば好奇心旺盛な世代の小中学生に効果は測れないが、意外と簡単に学校でできることがある。「授業を面白くする。」ことではないだろうか。
仕事柄、都内の小学校の授業を観ることが多くある。何処も整然としていて、教師用指導書に則っているのだろう、体裁はとても綺麗な授業ではある。しかし、一度たりとも独創的で面白い授業に出会ったことがない。笑いがない、面白くない。
先生の働き方改革が推進される今、それこそ授業研究に時間を費やしてもらいたい。どんな授業、どんな展開にしたら子どもが喜ぶか。手抜き授業や一方通行授業にせず、児童・生徒に向き合った楽しい授業に変えて行ければ、子どもたちは楽しいから学校に来るのではないだろうか。単純な考えかもしれない。大学の授業を通して面白い授業には、大学生のお兄ちゃんたちでさえ欠席することなく、こぞって出席してくる。ましてや子ども、面白い授業、興味が湧くような授業を始められるのであれば、不登校に陥り始めた子どもを救えるのではないだろうか。学校に行きたいという大きなきっかけとなり、不登校になることを防げるのではないだろうか。まずは教育現場自体が不登校を社会現象として捉え、諦めるのでなく、現場でできることから取り組む姿勢や体制作りが必要である。
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