日本国憲法に定められた国民の三代義務(勤労、納税、教育)の中の一つに「教育の義務」がある。国が国民に義務を課しているのならば、それに見合う責任を果たすべきであろう。勿論完璧に万民に責任を果たしている国など無いこともわかっている。日本は世界に誇れる良い国だ。しかし、いつも何かが足りなく、政策が後手に回ることばかりやっているとしか思えてならない。この国の原動力の中心は、明治からの「教育制度」である。資源のない島国が孤立もせず、ここまで世界を相手にしてこられたのも、この「教育制度」があったからであると確信している。
高校の授業料の無償化が国会で議論されていた。何を今更である。
自宅が多摩川に近い。川向こうは神奈川県。先日、川崎市中原区に住む友人と話していたら、「多摩川から100メートルしか離れていないのに渡れば高校の授業料が無償化、東京はいいな。」と嘆いていた。東京都は国に先駆けて昨年度から、住んでいる全ての子どもに都立高校では年間11万8,800円、私立高校では48万4,000円が国や東京都から支払われる制度を始めた。実質高校の授業料無償化である。高校への進学率が99%になっている今、高校は義務教育ではないものの、それに等しい状況である。議論の余地があることの方がおかしい。先進国では中等教育の無償化は当たり前になっており、ヨーロッパのほとんどの国が中等教育の無償化を実現している。お隣の韓国でも2021年より無償化となっている。
この国に住む全ての子どもたちが安心して進学ができ、学ぶ権利を保障する考えが筋ではないだろうか。予算的には約6,000億円程度あれば実現可能との試算もある。2024年ユネスコの調査によれば2023年日本の対GDPに占める公的教育費は182カ国中132位の3.24%しかなかったと言う。文部科学省は来年度の一般会計予算を5兆4,029億円計上している。1割強増やせば簡単にできるのである。こんなに一生懸命働き(勤労の義務)、きちんと税金も納めて(納税の義務)いる国民は少ないと思う。「教育の義務」を言うのであるならば、その責任を国はしっかりと果たさなくてはならない。くだらんことにお金を使うなら、今すぐにでも問答無用で高校の授業料無償化に進むべきである。
*中等教育とは、日本の現行教育制度では中学校と高等学校の教育を指します。
お問い合わせ
CONTACT
TEL 03-3237-9801
10:00~17:00(土日祝祭日は除く)